可能性開花ブログ 牛の親子(前篇) こんにちは。えっちゃんです。 今日もブログにお越しいただき、ありがとうございます。 今日はお話を一つ。 とある農場に心の優しいお母さん牛がいました。 その牛にはかわいい子牛が1頭。 お母さんは、その子牛がかわいくて、たっぷりの愛情をかけて育てていました。 そのお母さん牛はとても働き者で、朝早くから農夫とともに畑に出て、一生懸命畑を耕したり、荷物を運んで、たくさん仕事をしています。 さて、隣の農場には、きれいな肢体をしたサラブレッドがいました。 足が速く、これまでもレースに出ては優勝をして多額の賞金をもたらし、とても大事にされていました。 毎日のようにいろんな人が見物に来て、その街ではスターです。 おいしい食べ物も与えられて、着飾っていて、お母さん牛は、ついつい自分の生活と比較して、自分の境遇を情けなく感じていました。 お母さん牛は、自分はそうはなれなかったけど、子供にはあのサラブレッドと同じようになってもらいたいと思い、毎日子牛に話して聞かせました。 「足が速くなったら、幸せになれるんだよ」 「とても大事に扱われていい生活ができるんだよ」 「毎日おいしい食べ物も食べられて、きれいな服を着せてもらえて、王様のように大事にされるんだよ」 「しんどい仕事をしなくて済むんだよ」 お母さん牛は、子牛が少し大きくなると、サラブレッドにするべく教育を始めました。 少しでも早く走れるように、毎日特訓です。 子牛は、初めのうちはお母さん牛の言葉を信じて、お母さんの言う理想の大人になるために、一生懸命走る練習をしていましたが、だんだん面白くなくなっていきました。 だって、子牛にとっては走ることより、重い荷物を引っ張ることの方が楽しかったから。 あるとき、子牛は思い切ってお母さん牛に話しました。 「お母さん、ぼく、走るのは楽しくないんだ。それよりも重い荷物を引っ張ることの方が楽しいんだ。だから、将来はそういう仕事をしたい」 お母さん牛はそれを聞いてあきれます。 「あなたは何もわかっていないのね。重い荷物を引っ張る仕事がどれだけ大変か。そんな価値の低い仕事に大事なあなたを就かせるなんて、おかあさんにはできないわ。そんなことを考える暇があったら、走る練習をしなさい!」 子牛は、しぶしぶ走る練習をします。しかし面白くありません。 それでも我慢して毎日毎日頑張りました。 しかし、もともと好きではないので、隙をみつけては重い石を引っ張ったりして遊んでいました。 そのたびに、お母さんに見つかりこっぴどく叱られました。 お母さん牛はとても教育熱心で、子牛がしっかり走れる身体になるように、おいしい草もどんどん食べさせました。 子牛は成長していきましたが、その成長はお母さんの理想とは違ったものになっていきました。 足は太くがっちりと、体は筋肉質で力強いたくましい身体へと成長していったのです。 それは、走るのに決して適してはいませんでした。 毎日走る練習をしてはいましたので、ほかの牛よりは速く走れるようにはなっていましたが、一般的なサラブレッドとは比べものにはなりませんでした。 それでもお母さんは、自分の子供に幸せになってほしくて、サラブレッドと一緒に練習させ走らせます。 成績が芳しくないと、どうしたらいいのか練習方法を考え、それを課します。 しかし、思ったような成績は出ませんでした。 子牛はどんどん自信を無くしていき、とうとう、走れなくなりました。 「こんなに努力しているのに、なんて僕はダメなんだろう・・・」 荷物を引っ張れば、誰にも負けないような身体を持ちながら、それを生かすことなく、ただただ自信を無くして動けなくなってしまったのです。 次回へ続く 投稿ナビゲーション 見えていない世界 牛の親子(後編)
こんにちは。えっちゃんです。
今日もブログにお越しいただき、ありがとうございます。
今日はお話を一つ。
とある農場に心の優しいお母さん牛がいました。
その牛にはかわいい子牛が1頭。
お母さんは、その子牛がかわいくて、たっぷりの愛情をかけて育てていました。
そのお母さん牛はとても働き者で、朝早くから農夫とともに畑に出て、一生懸命畑を耕したり、荷物を運んで、たくさん仕事をしています。
さて、隣の農場には、きれいな肢体をしたサラブレッドがいました。
足が速く、これまでもレースに出ては優勝をして多額の賞金をもたらし、とても大事にされていました。
毎日のようにいろんな人が見物に来て、その街ではスターです。
おいしい食べ物も与えられて、着飾っていて、お母さん牛は、ついつい自分の生活と比較して、自分の境遇を情けなく感じていました。
お母さん牛は、自分はそうはなれなかったけど、子供にはあのサラブレッドと同じようになってもらいたいと思い、毎日子牛に話して聞かせました。
「足が速くなったら、幸せになれるんだよ」
「とても大事に扱われていい生活ができるんだよ」
「毎日おいしい食べ物も食べられて、きれいな服を着せてもらえて、王様のように大事にされるんだよ」
「しんどい仕事をしなくて済むんだよ」
お母さん牛は、子牛が少し大きくなると、サラブレッドにするべく教育を始めました。
少しでも早く走れるように、毎日特訓です。
子牛は、初めのうちはお母さん牛の言葉を信じて、お母さんの言う理想の大人になるために、一生懸命走る練習をしていましたが、だんだん面白くなくなっていきました。
だって、子牛にとっては走ることより、重い荷物を引っ張ることの方が楽しかったから。
あるとき、子牛は思い切ってお母さん牛に話しました。
「お母さん、ぼく、走るのは楽しくないんだ。それよりも重い荷物を引っ張ることの方が楽しいんだ。だから、将来はそういう仕事をしたい」
お母さん牛はそれを聞いてあきれます。
「あなたは何もわかっていないのね。重い荷物を引っ張る仕事がどれだけ大変か。そんな価値の低い仕事に大事なあなたを就かせるなんて、おかあさんにはできないわ。そんなことを考える暇があったら、走る練習をしなさい!」
子牛は、しぶしぶ走る練習をします。しかし面白くありません。
それでも我慢して毎日毎日頑張りました。
しかし、もともと好きではないので、隙をみつけては重い石を引っ張ったりして遊んでいました。
そのたびに、お母さんに見つかりこっぴどく叱られました。
お母さん牛はとても教育熱心で、子牛がしっかり走れる身体になるように、おいしい草もどんどん食べさせました。
子牛は成長していきましたが、その成長はお母さんの理想とは違ったものになっていきました。
足は太くがっちりと、体は筋肉質で力強いたくましい身体へと成長していったのです。
それは、走るのに決して適してはいませんでした。
毎日走る練習をしてはいましたので、ほかの牛よりは速く走れるようにはなっていましたが、一般的なサラブレッドとは比べものにはなりませんでした。
それでもお母さんは、自分の子供に幸せになってほしくて、サラブレッドと一緒に練習させ走らせます。
成績が芳しくないと、どうしたらいいのか練習方法を考え、それを課します。
しかし、思ったような成績は出ませんでした。
子牛はどんどん自信を無くしていき、とうとう、走れなくなりました。
「こんなに努力しているのに、なんて僕はダメなんだろう・・・」
荷物を引っ張れば、誰にも負けないような身体を持ちながら、それを生かすことなく、ただただ自信を無くして動けなくなってしまったのです。
次回へ続く